CarPort ドキュメント

ソフトウェアドキュメント

💡 このドキュメントはCarPortバージョン3.2を対象としています。それより古いバージョンや新しいバージョンでは、機能が異なる場合があります。

OBD2診断

OBD2診断では、排出ガス関連の故障コード、レディネスステータス、エンジンのライブデータを読み取れます。シンプルなELM327アダプターでも使用できます。

OBD2診断

OBD2(On-Board Diagnostics、第2世代)は、法律で義務付けられたメーカー共通の診断インターフェースで、2001年式以降のガソリン車と2004年式以降のディーゼル車(EU圏)のすべてに搭載されています。独自プロトコルを使用するVAG固有の診断とは異なり、OBD2は国際的に標準化された規格(ISO 15031、SAE J1979)に基づいています。

OBD2の主な目的は、排出ガス関連システムの監視です。このインターフェースでは、エンジンECUと、搭載されている場合はトランスミッションECUにアクセスできます。利用できるデータは次のものに限られます。

  • 排出ガス関連の故障コード(P0xxx形式のDTC)
  • 排出ガス関連の測定値(例:エンジン回転数、冷却水温度、O2センサーの値)
  • 排出ガス監視システムのレディネスステータス
  • 故障検出時のフリーズフレームデータ

ℹ️ 重要:OBD2では、ABS、エアバッグ、コンフォート系電装品、インフォテインメントなどのメーカー固有のECUにはアクセスできません。車両のすべてのシステムにフルアクセスするには、対応するインターフェースでVAG固有の診断を使用してください。

OBD2診断の開始

CarPortでOBD2診断を開始する方法はいくつかあります。

  1. スタート画面から:インターフェースの検出後、OBD-2診断を今すぐ開始ボタンをクリックします(スタート画面を参照)。
  2. ツールバーから:上部ツールバーのOBD-2 ログインボタンを使用します。
  3. ECUアドレスを指定して:ツールバーのアドレス欄にアドレス33を入力し、Enterキーで確定します。

💡 :OBD2専用インターフェース(例:ELM327、OBDLink)で使用できる機能は、OBD2診断のみです。これらのアダプターでは、ECU選択とAutoScanは使用できません。

故障コードの読み取りと消去

OBD2診断では、排出ガス関連の故障コードを読み取って消去できます。操作方法は故障メモリで説明した手順と同じですが、標準化されたOBD2の範囲に限られます。

  • 表示されるのは、P0xxxP2xxxP3xxx形式の標準化された故障コードのみです。
  • メーカー固有のコード(例:VAG独自の16xxx形式)には、OBD2ではアクセスできません。
  • フリーズフレームデータは、車両が提供している場合に確認できます。

レディネスステータス

レディネスステータスは、車両内部の監視システム(モニター)が、故障メモリを最後に消去してから自己診断を正常に完了したかどうかを示します。多くの検査機関では、すべてのレディネスが完了していることを検査の前提条件としているため、特に排出ガス検査の際に重要になります。

CarPortは、各モニターのステータスをわかりやすく表示します。

  • 完了(準備完了):モニターがテストサイクルを終え、故障は検出されませんでした。
  • 未完了(準備未完了):故障メモリを最後に消去してから、モニターがまだテストサイクルを完了していません。必要な走行条件がまだ満たされていない状態です。
  • 非対応:車両にこの監視システムがありません(例:セカンダリーエアシステム非搭載)。

代表的なモニターには、次のようなものがあります。

モニター 説明
触媒 浄化効率の確認
加熱触媒 加熱機能の確認
燃料システム 混合気制御の監視
O2センサー 排気センサーの機能確認
O2センサーヒーター ヒーター回路の確認
失火 燃焼不良(ミスファイア)の検出
セカンダリーエアシステム 二次エアポンプの確認
燃料蒸発システム(EVAP) 燃料蒸発ガス系統の気密性確認
EGRシステム 排気ガス再循環の機能確認

💡 ヒント:故障メモリを消去すると、すべてのモニターが「未完了」にリセットされます。レディネスステータスを回復させるには、車両ごとに定められた走行サイクルをこなす必要があります。モニターによっては、特定の条件(市街地走行、高速道路走行、冷間始動)で何度か走行しなければならない場合があります。

ライブデータ(PID)

OBD2では、PID(Parameter ID)と呼ばれる仕組みを通じてリアルタイムの測定値を取得できます。これらの標準化された識別子によって、エンジンECUが要求に応じて返すセンサーデータが定義されています。CarPortは利用可能なPIDを自動的に問い合わせ、対応している値をわかりやすい名称と物理単位で表示します。

よく利用できるPIDの例:

  • エンジン回転数(RPM)
  • 車速(km/h)
  • 冷却水温度(°C)
  • 吸気温度(°C)
  • エンジン負荷(%)
  • O2センサーの値(電圧/当量比)
  • 燃料圧力(kPa)
  • 点火時期(° BTDC)
  • 短期/長期燃料トリム(%)

ライブデータの表示と操作は、測定値で説明した方法と同じです。値を選択してグラフで可視化したり、ロギングで記録したりできます。

ℹ️ :車両が実際にどのPIDに対応しているかは、メーカー、モデル、年式によって異なります。すべての車両が、標準化されたPIDをすべて提供しているわけではありません。

VAG固有診断との違い

OBD2診断とVAG固有の診断は互いに補い合うものですが、対応範囲とできることは根本的に異なります。

項目 OBD2診断 VAG固有の診断
ECUへのアクセス エンジンと(搭載されている場合)トランスミッションのみ 搭載されているすべてのECU
故障コード 排出ガス関連の故障コードのみ 全システムの故障メモリすべて
測定値 標準化されたPID メーカー固有のすべての測定値
コーディング 利用不可 利用可能
アダプテーション 利用不可 利用可能
出力テスト 利用不可 利用可能
基本設定 利用不可 利用可能
ECU選択 利用不可(アドレス固定) すべてのアドレスを選択可能
AutoScan 利用不可 利用可能
必要なインターフェース 任意のOBD2インターフェース(例:ELM327) VAG対応インターフェース(例:AutoDia K509、K+CAN Commander 1.4)

OBD2診断が適している場合

  • OBD2インターフェース(例:ELM327、OBDLink)しか持っていない場合。
  • エンジン警告灯(MIL)をすばやく確認したい場合や、排出ガス検査の前にレディネスステータスをチェックしたい場合。
  • エンジンの排出ガス関連の問題を診断する場合。

VAG固有の診断が適している場合

  • 他のECU(例:ABS、エアバッグ、エアコン、ステアリング)にアクセスする必要がある場合。
  • コーディング、アダプテーション、基本設定を行いたい場合。
  • 車両の全システムにわたる故障メモリ全体を確認する必要がある場合(AutoScan)。